この記事は、主にIT業界における30代の転職希望者向けに書いています。
この記事を読めば、転職活動に必要な期間と、それを決める要素が把握できます。
その要素は「転職における軸決め」と「転職パターン」です。
これが分かると速い人で1カ月〜2カ月で内定が決まります。
働きながらゆるゆる半年かかって違う職種へ転職した、SIer出身で30代のモバイルエンジニアが書いています。
答え: 転職における軸と転職パターンによって変わる
転職における軸とは、転職する際の決め手のことです。
これを前もって決めておかないと、こちらから選考辞退を伝える場合の判断ができなくなります。当たり前と感じることですが、意外と転職における軸を決めずに転職活動を始めてしまい、自分が何をしたいのか分からなくなった人も少なくありません。転職エージェントを利用する場合はヒアリングの際に必ず転職における軸を聞かれるので、しっかり決めておくと良いです。ここが曖昧だと、その後の選考で軸が増えたり、軸の優先度が変わってきて決めきれなくなるためです。
転職パターンとは、同じ職種で会社を変える、別の業種に同じ職種で転職するなど、どういうかたちで転職するかということです。
転職パターンによって活動期間が変わる理由としては、
- 求めるかたちの転職パターンにそもそも需要があるのか
- 時期的に募集があるか
- 根拠があるか
- 実績があるかもしくは目標達成するスキルが期待できるか
などさまざまです。
ちなみに、わたしは「30代後半における、同じ業界、異なる業務、未経験の異なる職種への転職」というパターンでした。一応、現職種と関連する職種ではありましたが、ほぼキャリアチェンジですね。
そのため、年齢もあったと思いますが、50社に応募し、約7カ月というあいだ活動していました。次が4社目ですが、最も長く転職活動しました、とんでもなく長かったですね。長すぎた。
転職における軸を3つ決めておく
なにかを決めるときに比較検討するための要素は人によってさまざまです。
たとえば、商品を購入するとき、スペック、値段、口コミ、新品・中古、耐用年数などいくつか自分にとって重要な要素を同じような商品同士で比較検討しています。転職においても同じです。
転職における軸はいくつか後述しますが、少なくとも3つ設定しておくとよいです。選考企業の比較や選考を進めるかどうかの判断をすばやくできるようになります。なにより、自分がなりたかった状態に極力近づけることができます。
自分で転職するための決め手に悩んでいる方は、一度転職エージェントに登録して、自己分析を行ったり、エージェントにヒアリングしてもらうのがおすすめです。たいていの転職エージェントサービスには、自己分析ツールを用意していたり、転職相談としてもヒアリングを行っています。転職エージェントサービスに登録したとしても、選考はまだちょっとという人は、その後の書類選考以降のプロセスを止めてもらうこともできます。
なぜ、転職を決断する決め手を明確にするか?
転職するための決め手を明確にしておくこと恩恵はいくつかあります。その中での最大の利点は、大量になる企業に応募するかどうか瞬時に判断できるようになることです。
働きながら転職活動する時間は限られています。わたしもそうでした。なので、極力スキマ時間でスマートフォンで提案企業の選別をポチポチ行います。
わたしはいろいろあって、8社ほどの転職エージェントに登録していました。小規模から大手の転職エージェントとさまざまです。大手の転職エージェントが顕著でしたが、応募を勧める企業の提案が大量に来ます。1つの転職エージェントあたり2日に10件のペースで、これどうですか?とメッセージが来ます。
くわしい企業研究は二の次です。なぜなら、転職エージェントの都合上、こちらの要望とまあまあかけ離れた案件も結構含まれているからです。
応募企業の絞る以外にも面接日程の調整、場合によってはSPI的な課題も選考が進むにつれて徐々に出てきます。
自分の転職軸にひっかかりそうだな、ちょっと気になるな、と思えなかったらどんどん捨てていってください。
転職の決め手となる軸はさまざまある
仕事内容、年収、働き方、休暇のとりやすさ、福利厚生、評価制度、経営方針などいろいろあります。
ちなみにわたしは大きく軸として以下の4つの要素を決めました。
- キャリアパス(職種)(優先度:高)
- 年収(優先度:中)
- 事業領域への関心度(優先度:中)
- 働き方(優先度:低)
便宜上、優先順位もつけましたが、正直いうとすべて優先度高です。
それゆえ、転職活動の終盤で相当悩むことになりました。。
仕事面とプライベート面にそれぞれ分けて具体的な転職軸を選定する
転職の決め手のなる軸の決め方は当たり前ですが、人によります。
ただ、ただ、ざっくりと仕事面とプライベート面に分けてそれぞれで考えるとどの軸を選ぶか決められるようになります。
たとえば、わたしの場合は、以下のようになります。(適宜、読み飛ばしても大丈夫です)
- 仕事面
- キャリアパス
- 年収
- 事業領域への関心度
- プライベート面
- 年収
- 働き方
キャリアパスについては、実はもともと最初の転職の頃から考えていました。なので、いちおう考えていたキャリアパスを経てきました。ただ、現職では自分が期待するポジションの空きがない、現職種からの職種変更が極めて難しいという2点の理由から、現職でキャリアパスを達成できる選択肢はなくなりました。組織構造の問題もあって、数年経っても実現できないと判断し、転職軸の1つに選んでいます。
年収は、仕事面、プライベート面、両方に出てきます。これはあまり言わなくてもいいことですね。大きなキャリアチェンジする以外であえて年収を下げにいく人はいませんから。
プライベート面で出てくるのは、ちょうど妻も転職を考えていたこともあり、経済的にあまり家庭に影響を出したくないというのが主な理由です。
ちなみに採用側から現年収、希望年収、最低希望年収は必ず聞かれます。当然、募集企業を経由しているエージェントも質問してきます。転職活動の初期にはあまりでてきませんが面接が進むと、最低希望年収、このラインを下回ると選考辞退する年収額は必ず聞かれるので前もって決めておきましょう。
どうやって決めるか?複数のエージェントに確認してみる。実は、エージェントの規模によって、扱う企業と特性や規模が異なるため、エージェント毎で提案できる企業の年収帯は変わります。なので、あなたの経歴も考慮のうえ、さまざまなエージェントに転職条件から希望年収、最低希望年収がどれだけになるか相談してみてくだい。
事業領域への関心度は、自分が関わる事業に興味を持てないと、その事業に関わるのが苦痛になるためです。なぜこれをやっているのか?どういう意義あるのか?これが分からなくなると、いくら成果を出しても精神的にあまり良くありません。
わたしの転職活動でもライブ配信プラットフォームサービスを扱う応募企業がありました。エージェントから魅力や意義は一応聞いていました。選考が進む上でさらに事業を理解しようと、配信者にこそなりませんでしたが、いちユーザーとしてあらゆるライブ配信アプリをインストールして配信者とやり取りしたりしました。しかし、、、全然ライブ配信する魅力や意義が分からない!!もう本当に分からなくて困りました。本音では、ライブ配信する時間も見てる時間もそんなねーよ!本読むわ!と思っていました。結果、ご縁はなかったですが、内定が出たとしても自分をごまかしていたと思います。選考過程でどんどん疲弊するので、ひと通りやりきってもダメなら時間のムダなので諦めましょう。
働き方は、リモートワークが可能かどうかで転職軸に選びました。
フルタイムな共働きであり、子どもが保育園に通っていたため、子どもの送迎ができる柔軟な働き方が必要でした。
さいわい、わたしの業界はWeb・モバイルアプリサービスが中心なIT系のため、ほとんどの応募企業でリモートワーク、フレックスな働き方が推奨されていてあまり気にすることはなかったんですね。
以上、この4つの転職軸で選考を進めてました。
と言いたいところですが、、、
他にも無意識に考えていた転職軸たち
振り返ってみると実は以下の条件も暗黙的にクリアしているか考えていました。同じような業界なので多分大丈夫という前提としていました。
企業の募集要項では分からないことも結構あるので、おもに面接のときに逆質問タイムで確認しています。
- 一般的な健康保険や雇用保険があること
- 正社員であること
- 土日祝日休みなこと
- 裁量があること
- 休暇が取れやすいこと
- 副業できること
- 交通費がでること
- 転勤がないこと
- 大企業すぎないこと(数百人〜数千人規模)
- スタートアップすぎないこと(数人しかいない)
- 変なうわさ、社風がないこと
- 変な社風がないこと
変なうわさ、社風がないことって、企業の公開情報からは分かりません。エージェントも採用担当者も、基本的にポジティブ思考で紹介や説明するので実態がつかみにくいのが正直なところです。
なので、わたしは目安としてカジュアル面談をお願いしたり、企業に関する社員クチコミ情報を提供するサービスに登録して、応募企業の口コミを参考に応募企業の雰囲気を事前に調べてみました。
口コミサイトは、あくまで目安です。さまざまな職種の人が口コミしていますが、職種が所属する部署によって状況が違ったり、応募企業をかなり前に退職した人がクチコミサービスを利用するために退職当時の状況を口コミしています。なので、極力最近退職した人の口コミを参考にした方がよいですね。
-
転職応募予定の企業の雰囲気や社風を知る方法【→口コミ】
転職を考える際、応募企業の文化や社風はなかなか把握しづらいですよね。実際入ってみたら…話が違う!、とならないためにも客観的に企業を評価する口コミサイトの利用がおすすめです。この記事では、口コミサイトを ...
続きを見る
具体的にどうやって判断すればいいの?
選んだいくつかの転職軸を元に具体的にどうやって応募企業を評価するのか説明します。なにも難しくありません。普段の仕事、ショッピングやECサイトで商品を買うかどうかの購買判断と同じようなことをやればいいです。
例えば、①評価制度に透明性がある、②連続で取得できる休暇率がほぼ100%、③教育研修制度が充実している、という軸があるとします。
応募する企業に対して、これらの軸毎に点数化します。1〜5段階で点数をつけてみます。
各軸に優先度をつけ、重み付けの係数を設定します。
- 評価制度に透明性がある(優先度: 高、重み: ✕ 2.0)
- 連続休暇率がほぼ100%(優先度: 中、重み: ✕ 1.5)
- 教育研修制度が充実している(優先度: 低、重み: ✕ 1.0)
これをもとに、A社、B社、C社を評価してみます。
- A社
- 3点
- 4点
- 2点
重み考慮合計: 3点 × 2.0 + 4点 × 1.5 + 2点 × 1.0 = 14点
- B社
- 4点
- 2点
- 1点
重み考慮合計: 4点 × 2.0 + 2点 × 1.5 + 1点 × 1.0 = 12点
- C社
- 2点
- 4点
- 4点
重み考慮合計: 2点 × 2.0 + 4点 × 1.5 + 4点 × 1.0 = 14点
適当に点数付けしましたが、A社が14点、B社が12点、C社が14点、となかなか現実的な総合評価になりました。
ここでB社が落ち、A社、C社のどちらかで決めることになりそうに見えますよね。
ただよく見ると、最も重視している①「評価制度に透明性がある」の評価が高いのは、B社なんです。ここで悩みます。「あれ、B社落としていいのか?他の企業は①の軸の評価が低いけどいいの?」と。
軸は選んだけど、いざ評価してみたら、、、あれ?ということは起きます。総合評価で判断してよいか迷ったら、選んだ各軸について改めて自分がどういう状態を実現しようとしているのか、それらの軸で応募企業において実現できそうか、問いかけてみてください。
わたしも結局は大勝利とまではいかず、最優先軸が実現できるかを優先して決めました。
ちなみに評価は選考が進むにつれて変わることがあります。面接で知らない内部情報が出てきたりするので、うまく選考が進んでいる場合は各選考の各プロセスで再評価してください。
転職パターンでも転職活動期間は変わる
どのようにパターンで転職するかで転職活動期間も変わる
転職活動が短期間で終了するケース
縁故採用
採用側と直接もしくは間接的に知り合いのケースです。仕事で直接かかわりがある、発表や講演での間接的なつながりで相手の実績や人となりが知られている場合、内定率が大分高いかなという印象があります。ITエンジニア業界では、5分程度の時間で軽い発表をするライトニング・トークなどのイベントで登壇する人もいます。リアルでもオンラインでも外向けにPR活動し続けておくと、損はないですね。
同じ業種、同じ職種へ
募集要項が同業種で同職種の場合、採用企業、転職エージェント、転職・就職に関するサービスから面接確約のスカウトが来る場合があります。書類選考が不要のパターンですね。スカウトする側が応募者の経歴からどういう働き方をしてきたか想像できるため、転職活動期間が短くなるケースです。実績があることから、応募要項とマッチング率高ければ、内定率も高いですん。
異なる業種、同じ職種へ
たとえば、SIer業界に従事していたシステムエンジニアが、事業会社のシステム部門に転職するケースです。顧客が社外のクライアントから社内の従業員向けのシステムになるという違いはありますが、業務によっては実績やスキルを活用できるため、比較的選考は進めやすくなります。
トレードオフができる場合
一部の転職条件を引き下げるパターンです。待遇が下がるケースが多いので、家族や経済的に不安がある場合はよく考えて決めたほうが良いです。
わたしは、キャリアパス形成の一環として、待遇と機会というトレードオフで別職種に転職しました。ただし、トレードオフで期待した結果が得られたら次のステージへ!という計画で内心は考えていました。転職先でそのときに考えていた最終的なキャリアパスは形成できなそうだったこと、将来的に待遇面は期待できなかったことため、その企業に長くいるつもりはありませんでした。残念ながら(?)その時期に結婚したため、当初の予定より長く滞在しましたが、出口戦略は考えておいたほうが良いですね。
転職活動が長期間で終了するケース
求める転職条件がいまの自分の経験・スキルからかけ離れている
クリアできる転職条件が高すぎるケースです。転職エージェントいわく、40代-50代の転職希望者に多いと聞きました。現職の待遇がそもそも高すぎるケースもあります。特に転職経験がない場合は、社内価値は高いけど市場価値はイマイチなこともあるので、転職エージェントを利用して自身の客観的な市場価値を評価してもらったほうが良いです。
現職種に関連する職種変更
現職で関わりのある職種への転職パターンです。
中途扱いになるので、やはり未経験だとなかなか難しいです。
わたしはこのパターンでした。モバイルエンジニアという立場でしたが、キャリアパスとして同じチームにいたプロダクト・マネージャーという職種へのキャリアチェンジが必要でした。
関連する職種が何をやっているか、具体的にどういうスキルが必要か、ある程度書籍や経験者のブログ、企業ブログの記事を読めばだいたいつかめます。いまではUdemyやCourseraどのe-ラーニングサービスで学習できますし、Courseraにおいては課題の提出前提ですがそこまで高くない金額で公式に証明証を発行してもらえます。証明証を持っているだけでどうにかなるわけでないですけどね。
ただ、転職を考えている職種への理解、現職との関連性、その職種との問題点などある程度理解していると、書類にも書けますし、面接時の質問にも具体的な説明を持って回答できます。
面接時は、以下のようなことは必ず聞かれます。転職理由と自身の今後の展望や求められる役割に強く関連する内容なので、正解というより自分の考えを用意しておくと良いです。
- 関連職種へのキャリアチェンジする理由
- 現職で転職内容を実現できない理由
- 関連職種に求められる役割
- あるケーススタディにおいて関連職種としてまず何を考えるべきか
- 関連職種として他の職種とどのような関係を築けばよいか
現職種に関連しない職種変更
完全に未経験の業種、職種への転職パターンです。「元気があれば誰でも良い」募集要項以外、未経験者が選考に進むことはほぼ不可能だと思います。年齢の影響もあります。中途採用の場合は、とうぜん即戦力を求められます。
応募企業の採用条件次第でも変わってくる
そもそも需要があるかどうかですね。
結論: 転職期間は、転職条件、転職パターンで目安をつけて決めること
転職の決め手となる主要な条件を3つ決めておきましょう。そのうえであなたがどのような転職パターンとなるかである程度転職期間の目安が分かります。