プロジェクトマネージャーの配置場所を見直そう → 事業本部に置くべき

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ここでは、PMと書くと、Product Managerと混同する人もいるので、あえてプロジェクトマネージャーをPjMと表現します。

プロジェクトマネージャー(PjM)の配置場所は、企業がプロジェクトを成功させるために見直すべき重要な要素です。Webサービスやシステム開発界隈では、PjMをシステム開発部に配置するケースがなぜか一般的ですが、これは最適な場所ではありません。

PjMの役割は、スコープ(範囲)、課題、リスクを評価し、プロジェクトの成功を目指してQCD(品質、コスト、納期)を管理することにあります。しかし、この役割はシステム開発に限定されるものではありません。なぜなら、事業成長施策にシステム開発が不要なこともあるからです。PjMに求められる本質的な役割は、システム開発など手段を問わず、事業全体を見据えた上で役割を全うできることが重要です。

この記事では、「なぜPjMをシステム開発部に配置するのは適切でないのか」「なぜ事業本部に配置するべきなのか」を具体例を交えながら解説します。これを読めば、PjMの本質的な役割と、最適な配置場所についての新たな視点を得られるはずです。

結論、プロジェクトマネージャーは事業本部に配置すべきである

プロジェクトマネージャーの本質は、プロジェクトを成功に導くことにあります。そのためには、スコープ(範囲)、課題、リスクを正確に評価し、適切にコントロールする能力が必要です。しかし、この役割はシステム開発に限定されるものではありません。むしろ、システム開発が不要なプロジェクトも存在する中で、事業目標に直接紐づく形でプロジェクト全体を統括する方が合理的です。

たとえば、新商品のマーケティングキャンペーンを成功させるプロジェクトでは、システム開発が主軸ではなく、マーケティング戦略や顧客の反応がプロジェクトの成否を分けます。このような場合、システム開発部に配置されたプロジェクトマネージャーではなく、事業本部に位置するPjMが全体を把握しやすいと言えます。

そのため、プロジェクトマネージャーをシステム開発部に置くのではなく、事業本部に配置することで、事業全体を見据えたプロジェクト管理が可能になります。

プロジェクトマネージャーはIT職種ではない:システム開発部に置くことで生じる課題

プロジェクトマネージャー(PjM)は、IT職種として捉えられることが多いですが、これは大きな誤解です。PjMの役割は、特定の技術分野に限定されず、スコープ(範囲)、課題、リスクを評価し、プロジェクトの目標を達成するための統率力を発揮することです。この役割は、軍隊の作戦指揮や建設プロジェクトの進行管理など、歴史的に様々な分野で重要視されてきました。しかし、現代の企業では、特にIT関連のプロジェクトが多いことから、PjMをシステム開発部に配置するケースがほとんどです。この配置が生む課題を以下に整理します。

プロジェクト参画の遅れがもたらす計画不整合とリスク

プロジェクトマネージャー(PjM)がプロジェクト初期段階で参画できない場合、計画の整合性や全体の成功確率に深刻な影響を及ぼします。システム開発部にPjMを配置することで、参画のタイミングが遅れる問題がしばしば発生します。この遅れが引き起こす主な課題は以下の通りです。

  1. プロジェクト全体像の把握不足
    PjMがプロジェクトの背景や事業目標を十分に理解できないまま、後追いで計画に参加することになります。この結果、重要な意思決定に適切なリーダーシップを発揮できず、プロジェクトの進行に支障をきたすことがあります。
  2. 初期計画の不整合
    キックオフ段階でPjMが不在の場合、事業部門やステークホルダーが独自に計画を進めることが多くなります。PjMが参画後に計画を見直す必要が生じ、余分な手戻りやコストが発生するリスクがあります。
  3. リスク評価の欠如
    PjMが初期段階で参画していないことで、プロジェクト開始前に潜在的なリスクが見落とされる可能性があります。これにより、プロジェクト進行中に予期しない問題が発生しやすくなります。

PjMがキックオフ段階から関与していれば、これらの課題を未然に防ぎ、プロジェクト計画をより効果的に進めることが可能です。プロジェクト初期段階でのPjMの不在は、全体の進行に大きなリスクをもたらす要因となります。

部門間の断絶の深刻化

事業本部やマーケティング部門、オペレーション部門との連携が希薄になる場合があります。部門間のコミュニケーション不足は、以下の課題を招きます。

  • プロジェクトの一貫性が損なわれる
    部門ごとに異なるゴールや優先事項が発生し、プロジェクト全体がバラバラに進行する恐れがあります。
  • 重要なインプットが失われる
    事業本部やマーケティング部門が持つ顧客ニーズや市場情報が、プロジェクト計画に反映されないまま進む可能性があります。

部門間の連携を強化するには、PjMが事業本部に配置され、複数の部門と密接に連携できる体制が重要です。

PjMの役割が軽視されるリスク

「PjMはIT技術者の延長線上にある職種」という誤解が生じることがあります。この認識はPjMの役割を不当に軽視し、以下のような悪影響をもたらします。

  • リーダーシップの発揮が阻害される
    PjMが技術的な専門性に限定された役割にとどめられ、本来の戦略的な意思決定やプロジェクトの統率力を発揮する機会が失われます。
  • プロジェクト全体の視点が狭まる
    PjMの視点がIT領域に閉じ込められることで、システム以外の施策(マーケティングやオペレーション改善)が見過ごされる可能性があります。

PjMの本質は、プロジェクト全体を見渡し、事業目標に向けて戦略的に導くことです。この役割を認識し、正しく配置する必要があります。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトのキックオフ段階から参画し、部門横断的な連携を強化し、全体を俯瞰した視点で戦略を策定する役割を持っています。PjMをシステム開発部に配置すると、これらの役割が十分に発揮されず、プロジェクト全体に負の影響を及ぼす可能性があります。

PjMの本質的な価値を引き出すには、事業本部に配置するなど、全体最適を実現する環境を整えることが不可欠です。この配置の見直しこそ、企業のプロジェクト成功率を向上させるポイントです。

他業種のプロジェクトマネージメントから学ぶ

映画制作の例

映画制作では、脚本作成、撮影、編集、宣伝といった工程が複雑に絡み合います。この中で、プロジェクトマネージャーの役割は、各工程の進捗を管理し、リスクを最小化し、最終的に公開日までに高品質な作品を完成させることです。映画制作において、ITの知識は補助的なものに過ぎず、むしろスケジュール管理や予算配分が重要です。

イベント企画の例

イベントの成功には、スポンサーのニーズ、集客戦略、当日のオペレーションが直結します。たとえば、大型フェスティバルの運営では、チケット販売や舞台設備の管理が必要ですが、システム開発そのものが不要な場合も多いです。このような場合、事業目標を直接管理できるPjMが事業本部に配置されていれば、成功率が高まります。

テレビ番組制作の例

テレビ番組制作では、プロジェクトの目標は「視聴率の確保」や「スポンサー満足度の向上」です。これらを達成するためには、放送スケジュールや視聴者データの分析を統合的に管理する必要がありますが、ITはあくまで補助的役割に過ぎません。このようなプロジェクトでは、システム開発の知識が必須ではないことが明確です。

これらの事例からも、プロジェクトマネージャーの役割が「ITに限定されないこと」が分かります。事業目標を達成するためには、PjMを事業本部に配置し、全体を俯瞰する体制を整えるべきです。

未経験業種のプロジェクトマネジメントにおける不安とその解決策

プロジェクトマネージャーが未経験の業種に取り組む際、多くの人が次のような不安を抱きます。

  1. 業界知識の不足
    未経験業種では、専門用語や業界特有の慣習がわからず、チームとの意思疎通に支障を感じることがあります。
  2. 適切な判断ができるかの不安
    業界特有の判断基準が不明なため、リスクや課題への対処に自信を持てない場合があります。
  3. チームの信頼を得られるか
    業界の専門家が多い環境で、PjMとしてのリーダーシップを発揮できるか不安を感じることがあります。


これらの不安を解消するためには、以下のアプローチが効果的です。

信頼構築のための透明性の確保

自身の業界知識が不足している場合、それを正直に伝えた上で、全員が理解しやすいプロジェクト計画を立てることが重要です。透明性のある姿勢がチームメンバーからの信頼を得る助けとなります。

突然、何も知らない人間が知見あるステークホルダーのいる環境に入ってきても、「何も知らない人が何か言っている」としてか認識されませんからね。ただ、内部の人間もその事自体は分かっているので、まずは、正直に伝えてみることです。

業界知識のキャッチアップ

初期段階で徹底的に業界についてリサーチし、基本的な専門知識を学びます。オンラインコースや専門書を活用し、短期間で基礎を固めるのがポイントです。詳細は後述します。

プロジェクト管理の普遍的スキルを活かす

スコープ管理、リスク評価、QCDの統制といったPjMの普遍的なスキルを意識します。業界特有の知識よりも、プロジェクト全体を正しく管理できる能力が重要であると認識することが不安軽減につながります。詳細は後述します。

専門家のサポートを活用する

チーム内や外部の専門家と協力し、判断が必要な場面では彼らの助言を得るための仕組み(会議体や1on1など)を設定します。専門家の知見をプロジェクト設計に反映させることで、自信を持って進められます。

普遍的スキルとドメイン知識の高速習得の重要性

未経験業種でプロジェクトマネージャー(PjM)として成果を出すには、2つの柱が不可欠です。それは、プロジェクト管理の普遍的なスキルを活かすことと、業界特有のドメイン知識を短期間で効率的に習得することです。この2つを組み合わせることで、どんな業界でも成果を出せるPjMに成長できます。

極論、可変のドメイン知識を圧倒的に短期間で習得できることがポイントです。

普遍的スキルの重要性

プロジェクトマネジメントには、業界を問わず共通する基本的なスキルがあります。これらを磨くことで、どのようなプロジェクトにも応用可能な強みを発揮できます。

  1. QCD(品質、コスト、納期)のコントロール
    プロジェクトの成果を左右する最重要要素で、どの業界でも必要不可欠です。
  2. スコープ管理
    プロジェクトの範囲を明確に定義し、目標達成に必要なタスクに集中するスキルです。
  3. リスク評価と課題管理
    潜在的な問題を事前に特定し、解決策を迅速に実行する能力が、プロジェクトの安定運営に直結します。
  4. 円滑なコミュニケーション
    チームメンバーやステークホルダーとの信頼を築き、目標に向かって連携を深める能力は、どの業界でも活きるスキルです。

これらのスキルを活かせば、たとえ業界が異なっても、プロジェクトの成功に寄与することが可能です。

圧倒的な速度でドメイン知識を獲得する方法

一方で、業界特有の知識(ドメイン知識)を短期間で習得することも重要です。以下に、そのための具体的なアプローチを紹介します。

  1. 実際にそのサービスを利用する
    サービスを体験することで、ユーザー視点をリアルに理解できます。たとえば、ECサイトのプロジェクトに関わるなら、自ら商品を購入してみることが効果的です。
  2. 販売側として一時的に登録する
    サービスによっては、販売者や提供者として参加することで、内部の仕組みやプロセスを学べます。たとえば、フリーマーケットアプリのPjMなら、出品者としての経験が貴重です。
  3. 資格試験を受けてみる
    業界に関連する資格試験に挑戦することで、基本知識を効率よく学べます。試験勉強を通じて、業界の基礎を短期間で習得できます。
  4. 専門ブログを徹底的に読む
    業界に詳しいブロガーの情報を隅々まで読むことで、最新トレンドや具体的な課題感をキャッチアップできます。
  5. 入門書、基本書、応用書を短期集中で読む
    書籍を活用して体系的に学ぶ方法です。入門→基本→応用と段階を踏むことで、知識を確実に深められます。
  6. 生成AIを活用する
    AIに質問を投げかけ、情報を整理してもらうことで、効率的に理解を進められます。最新情報や解説を必要に応じて取得できるのが強みです。

学び続けるアジャイルな姿勢の重要性

プロジェクトが進む中で新しい知識やスキルを柔軟に吸収し、即座に適応するアジャイルな姿勢も欠かせません。最初から全てを知っている必要はありません。学びながら進めることで、プロジェクトに応じた対応力を発揮できます。

事業本部にPjMを配置してプロジェクトの価値を最大化しよう

プロジェクトマネージャーの役割を正確に理解し、その配置場所を見直すことは、企業がプロジェクトを成功させる上で極めて重要です。システム開発部にPjMを配置することは、その業務範囲を不必要に狭めるリスクがあります。一方、事業本部にPjMを置くことで、システム開発の有無を問わず、事業全体の目標に向けて最適なプロジェクト設計が可能になります。

不要なシステム開発を避け、本来の事業目標に集中するために、PjMの配置場所を見直し、事業本部に配置することを推奨します。これにより、プロジェクトの価値を最大化し、企業全体の成功を支える体制を構築できるでしょう。

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